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手習いは坂に車を押すがごとし

本題の前に今日の注記しておくべき出来事について…

その1:エクセル強い?
と職場の上司にきかれたらどんな上段知識が試されるのかとおもいませんか。
なんとびっくり「メモの削除」の仕方を聞かれたので「右クリックです」と答えました。

その2:営業は外回ってなんぼ
「営業は外回ってなんぼだよ」とわたしに訓戒をたれながら「今日も報告業務で外勤でたくてもでれないわ」と必死にお客さんを敬遠してた先輩営業社員が、外回りのない営業部署に異動してからも「やっぱ営業マンは外勤でないと息つまるわ」といっているそうなので息の根が止まればいいと思いました。


さて本題に入って。
年末休みに、所沢ぶらり書店ツアーでジャケ買いした古井由吉(ふるいよしきち)の『書く、読む、生きる』を読みはじめました。本のタイトル通り、ご本人が書くことや読むことについて語っている本です。講演した内容の文字おこしらしく口語体なのもまたよみやすくていいです。開始数ページからやった!面白い!ナイスジャケ買い!でした。ちなみに古井さんの小説はまだ読んだことなかったけど、この随筆がおもしろいので今度読んでみたいです。

古井さんは昨年82歳で亡くなった大作家さんで、東大独文科卒の独文学の翻訳も数多く成し遂げている人みたいです。そんなドイツ語の権威であり、芥川賞なり芥川賞選考委員なりを歴任する最高峰の日本語の使い手でもある人が下のように言っています。


2、3年に一度くらいは外国旅行もします。だけどわたしには3週間が限度ですね。この仕事はやっぱり言葉の仕事ですから。母語の地を離れるのはきつい。母国語がしっかりしているならば、外国で何年暮らしても、それを踏まえて母国語に新しい何かを付け加えることもできるでしょう。しかし、戦後の経済成長の途上で日本は言語がだいぶ緩んでしまいました。私の中でも緩んでいる。そこへもってきて、もしも長く外国で暮らしてそこでの言葉に馴染んだ時に、言語の上で自分で揚げた凧の糸に自分がひっぱられてしまうような、そんなことになるのを恐れているのです。


ですって。いかに言葉が繊細で崩れやすくて生ものかってことよな。ベテラン大先生でも日々これ研鑽しないと危機感に苛まれ、自分の言葉のもろさもわかっていて、だからこそここまで言葉巧みになれるやつ。

『手習いは坂に車を押すがごとし』とはよく言ったもので、学問は一瞬でも手を離すとせっかく押し上げた車もずるずると坂を滑り落ちていく。日々これ精進。



by sorottenokinami | 2021-01-27 20:53

2020年から2021年も書き続けることにしたブログ


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